なかなか治らない慢性前立腺炎の痛みは「慢性疼痛」になっていることが多いです
- 2025年2月16日
- 泌尿器科
今回は「慢性疼痛」についてお話しします。
このテーマを選んだ理由は、なかなか治らない慢性前立腺炎の痛みが「慢性疼痛」になっていることが多いからです。
では、「慢性疼痛」とはどのような痛みなのでしょうか?
**「慢性疼痛診療ガイドライン」**によると、慢性疼痛は次のように定義されています。
「慢性疼痛は、通常3カ月以上続く、または一般的な治療期間を超えて持続する痛みである。」
つまり、長期間にわたって痛みが続く場合、それは慢性疼痛と考えられるということです。
たとえば、包丁で手を切ったときに感じる痛みは「急性疼痛」と呼ばれます。
この「急性疼痛」は、適切に治療すれば比較的短時間で治ります。
しかし、慢性前立腺炎の症状が 3カ月以上痛みが続いている場合 は、「慢性疼痛」の可能性を考える必要があります。
慢性疼痛は、3種類の異なる痛みが複雑に絡み合い、治療が難しくなると考えられています。
では、3種類の痛みとはどのようなものでしょうか?
1. 一般的な痛み 2. 神経の障害による痛み 3. 感情が関係する痛み ▲「いつになったら治るのか…」という 不安や恐怖 などの感情からくる痛み。 |
このように、慢性疼痛は 身体的な要因だけでなく、神経の障害や心理的な影響も関わっているため、適切な治療にはこれらの要素を考慮することが大切です。
慢性疼痛になると、「神経の障害による痛み」(2番)や 「感情が関係する痛み」(3番)が増えていきます。
これらの痛みは、脊髄や脳などの神経の異常によって引き起こされます。
そのため、2番・3番の痛みが主な原因となっている慢性前立腺炎では、これらの痛みに対する治療が必要です。
しかし、一般的に行われている慢性前立腺炎の治療は、前立腺に作用する薬を使ったものが中心です。
そのため、治療の考え方を変える必要があります。
例えば、**「1週間前から症状が出た」**場合は、まずは一般的な痛み(1番)を疑い、通常の慢性前立腺炎の治療を行います。
しかし、**「症状が出てから3カ月以上経っている」**場合は、慢性疼痛と考え、2番・3番の痛みが関係していないかを検討することが重要です。
当院では、症状が長引く慢性前立腺炎の患者様に対し、「慢性疼痛」の視点を取り入れた治療を行っています。
※上記リンクページにも今回の病状について詳しく書いていますので是非一読ください。
慢性疼痛の治療には時間がかかりますが、決して治らないわけではありません。
また、当院では 慢性前立腺炎の治療に関する研究を重ね、学会発表や論文発表を継続的に行っています。
**「なかなか治らず困っている」**という方は、ぜひ一度ご相談ください。